アロガント級の戯言。

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サクラ大戦 ~熱き血潮に~ RTA in 6:48:22 レポート【2021-12-30】

文:ぜらす 2022.1.1

○はじめに

 2020年夏、初代サクラ大戦の解説動画を通して表明した『【2・3・血潮】の最終版チャートを作り、シリーズのRTAにけじめをつける』という目標。あれから1年半、そして前回の血潮のRTAからちょうど8年ぶりとなった2021年12月の末、ついに血潮は走破され、当初の目的を果たしました。今回もチャートの基本は「全カット」と呼んでいる、フリー移動中にイベントを起こさずに迅速なシナリオ進行を目指す攻略です。

 また、血潮は「特殊攻撃」という、隊員それぞれ効果の違う特別な技が使えます。これは8年前には戦術に組み込まれていなかったのですが、今回はそれをフルに活かす形で戦闘を進めました。「特殊攻撃」は後の作品である『Ⅴ』には搭載されなかったため、本作のみの要素。

 その「特殊攻撃」も活かされるようになった、シリーズ独自の展開があるRTA。その中身を見ていきましょう。

○ラップタイム

 

2021-12-30

2013-12-29

一話終了

0:26:26

0:37:34

-0:11:08

二話終了

0:55:25

1:15:50

-0:20:24

三話終了

1:32:17

2:00:22

-0:28:24

四話終了

2:03:48

2:42:26

-0:38:37

五話終了

2:33:15

3:17:39

-0:44:24

六話終了

3:12:13

4:04:47

-0:52:34

七話終了

3:36:00

4:39:17

-1:03:16

八話-脇侍工場撃破

3:53:11

4:59:09

-1:05:58

八話終了

4:07:32

5:17:19

-1:09:46

九話終了

4:22:56

5:35:26

-1:12:30

十話終了

4:46:33

6:10:10

-1:23:37

十一話-鹿撃破

5:14:21

6:44:12

-1:29:51

十一話終了

5:43:54

7:17:32

-1:33:37

最終話-叉丹撃破

6:23:46

7:53:42

-1:29:56

計測終了

6:48:22

8:18:58

-1:30:35

・環境:PlayStation2(SCPH-90000) + アナログ振動パッド2 TURBO
・計測:電源投入~クリアデータセーブの表示まで(※)
 ※前回はエンディング後の一枚絵消滅までだったが、わかりやすくするため変更

○レギュレーション
・ムービーカット有り
・次回予告、エピローグムービーのカットは無し(世界観を重んじる)
・クリア済システムデータの利用可

○動画

 お馴染み Twitch での生配信に、ゲーム音声のみの YouTube 版があります。

 

○血潮RTAのポイント

 初代の「スーパーリメイク」である本作は、基本的なストーリー展開は初代と同じでありながらイベントや話自体が追加されています。また、戦闘が『3』や『4』と同じ ARMS に変更されたことを始め、各種ボスやギミックにも変化があります。しかしその他にも、戦闘のシステム側にもいくつか追加されているポイントがあります。

 まずひとつめは、序文にも書いた「特殊攻撃」。これは、気力ゲージを40使用して攻撃時に敵 or 自機に特殊な効果を付与するものです。誰がどんな「特殊攻撃」をするかは以下。

・大神:次の自分のターンが終わるまで攻撃力+10
・さくら:敵が「防御」している場合それを解除する
・すみれ:攻撃した敵は次のターン、ARMS の行動ゲージが半分になる
・マリア:次の自分のターンが終わるまで、敵の攻撃力を下げる
・アイリス:自身の気力値を回復する
・カンナ:次の自分のターンが終わるまで、敵の防御を5下げる
・紅蘭:自身の体力を回復する

この中で非常に有用なのは、大神&カンナ。敵の撃破速度に直結するものです。「特殊攻撃」をできる隊員は場に1人のみ、のような縛りも無いので、まず大神さんが自機の攻撃力を10上げ、次にカンナが敵の防御を5下げ、そして次の大神さんのターンで超強力な攻撃を叩き込む...といった進め方が基本になります(1ターンで500とか600とか削れます。素敵!)。さくらも一見有用に見えますが、『血潮』のボスは HP が減ってやっと防御しだすので、ボス戦ではほぼ出番無しです。

 しかし、上記のような「行動ゲージを減らす」「攻撃力を下げる」というデバフ効果に関しては、ボスクラスのキャラの必殺にも中盤から追加効果としてついてまわります。これらを食らって戦闘が長引かないよう、ちゃんと良い位置に隊員を置いて「かばう」で無効化してあげましょう。

 次の特徴は、ADV パート中の LIPS の選択によって、大神さんの「隊長タイプ」...補正値および必殺の範囲が変化するというもの。血潮では、LIPS 選択時に顔アイコン周辺に青・赤・黄のゲージが貯まります。戦闘突入時にどのゲージが最も高い割合だったかを判断し、その戦闘における大神さんの「隊長タイプ」が決まります。青が多ければ「風」、赤は「火」、黄なら「山」でどれにも属さない場合は「林」になります。作戦コマンドと同じ名前であることから想像しやすいかもしれませんが、「火」の場合は攻撃力に大きく補正がかかるほか、必殺の範囲が前方に伸びる恩恵を得られます。今回のチャートでは基本的に「火」の大神さんになることを目指しました。

 ただ、「隊長タイプ」は LIPS を通して累計されてきたゲージ量によってレベルが上がっていくもので、フリー移動をほぼ全てカットしているためシナリオ進行中に上げないといけません。そのため、戦闘を有利に進められない「隊長タイプ」になったり、火力が不足していることがわかったり、となったら ADV パートに戻って LIPS の組み直しです。本作は好感度調査の他にそっちの調整も必要だったので、4割増しくらいで大変でした。

 そして最後の特徴ですが、これは完全にRTAプレイヤー向けの情報『血潮』の ARMS の移動は、カメラを斜めにしてそれに対し斜め入力で移動することで、1.33倍の速さで移動することができます。

 原理としては、PS2DQ8RTAで使われている「斜め走り」のテクニックを知っていれば一番わかりやすいでしょう。PS版DQ4DQ7も似たようなものです。画面の縦横比の関係で、斜め×斜めでの移動が敵であっても速度が向上します。なので、カメラ操作が割と忙しい、他のシリーズには無い要素です。なお同じ ARMS でも『3』と『4』では効果がなく、『Ⅴ』は効果があります。これは2013年12月の走りの際に既に発見されていた小技でした。

 

○血潮RTAのこれまでと今回

 実は今回大きく変わったこと。まずは PS2 の型番が違います。『Ⅴ』を最後に通した2017年までは SCPH-15000 を使っていました。当然、2013年に走られている本作もその古い型での記録です。しかし、今回初めてサクラ大戦シリーズのRTAに SCPH-90000 型の PS2 がやってきました。どれだけ効果があったかはわかりませんが、そもそも 15000 時代は起動からゲームが始まるまでの時間(=ディスクを読み始めるまでの時間)にバラつきがあり、そこが若干の運ゲーになっているという謎な状態だったので、安定したゲーム開始を提供してくれる 90000 型への乗り換えは良かった点。

 ではこれまでのRTAのお話。『3』や『Ⅴ』の初回挑戦と同様、『血潮』でも究極称号である「絶対正義」を獲得するため、隊員6人とサブキャラ5人(風組・米田中将・あやめさん)の好感度を上げる+大神さんの隊長レベルを上げるために奔走していました。「絶対正義」の威力は『3』と同様で、フィールド全範囲に効果を及ぼす必殺と、大神さんに最強の補正がかかるというものです。

 ただ、『Ⅴ』で有用性が証明され、『3』もそれで上手くいきました。そう、今回もまた「絶対正義」を捨てました。フリー移動中にほとんどイベントを起こさず、隊長レベルも最高にはほど遠い状態に。その火力不足は『3』で痛感したものの、前回まで使用されていなかった「特殊攻撃」をフル活用することで戦闘の遅れは『3』ほど大きくなく、どちらかと言えば戦闘も多少なりとも早く終わった場合が多く、結果としてちょうど1時間半の更新を見ることができました。

 

○行動再現(いつものアレ)

 『3』のレポートにありますが、ARMS であってもそれなりに高い精度で相手の動きを再現することが可能です。最後の最後、通す日まで AI の誘導条件がよくわからなかったのは、三話・六話の刹那の瞬間移動先くらいでした。三話は「まあいつもここに瞬間移動するんだよな~」という場所があるのですが、練習中にたった一度だけ違う位置に動いたことを確認しています。その場所は撃破速度的に非常にありがたいポイントだったので是非とも再現したかったのですが、その時と同じような行動をしても結局二度と巡り会えず...。あれが確立されていたらもう少し早くなったでしょう。

 『3』では「かなりの精度」と述べましたが『血潮』では「それなりに高い精度」とランクダウンしているのは、AI 側も何らかの条件分岐が複雑化されたのか、主にボスの攻撃先・行動が安定しないものがありました。幸い、走りの中では防御や回復といった緊急措置を取る必要はなかったのでセーフ。

 初代ではミロクの引き連れる雑魚・「紅蜂隊」と天海が従えている「近衛」がランダム行動で苦しめられましたが、本作ではこいつらも行動再現の範疇に収まってくれました。まあシナリオ展開が変わったので紅蜂隊とほぼ戦わないんですが。

 まとめると、刹那の瞬間移動先と、そこから繰り出される攻撃相手を完璧に再現するところまでは至らなかったという感じです(三話も六話も)。ただ、「こっちがこんな感じに動けば、相手も似たように動く」理論自体は通用する相手なので、事前に用意した戦術にハマってはくれています(=初代の紅蜂隊みたいな完全ランダムではなさげ)。『2』『3』とまでは言いませんが、あえて本作の運ゲー要素として掲げるならココですかね。ええ。

 【2022.1.3追記】他に「その行動をする条件」がよくわからないのが、鹿の防御。こっちは同じように動いているものの、奴が防御をするときとしないときがあります。これはパターン分岐で戦術を作っており、防御時にはさくらの「特殊攻撃」で解除するので特に問題は無いのですが、やっぱり AI が見ているものが増えているのかもしれませんね。

 

○今回のチャートのポイント

1. フリー移動をほぼ全てカット。移動の早期終了が出来る場合はそれを選択

 まあやっぱり基本はこれ。繰り返しになりますが、 ARMS は移動・攻撃・防御・ため・回復の全てが1ターンのうちに行えます。なので、作戦変更による消費ゲージ量の変化と『3』のレポートで紹介した0ゲージ移動を使えば、戦略の幅はかなり広がります。特に通常プレイでは意識されにくい後者は、補正値が低下するRTAにおいては重要なテクニックです。

 ベースは初代なので、一話・二話の夜の見回りはそもそもフラグを折っています。舞台修理もしません。なので隊長室前で振り向いたら何故かあやめさんと激突する展開は『血潮』でも見られます。

 フリー移動で多かったのは、隊長室で時間を潰し、特定の回数経過すると選択できる「今日はもう寝る」の LIPS を選択して誰にも合わず移動終了というパターン。その他の場合は、イベントが発生せずかつ早期終了可能な場所の近くで時間を潰す、といったプレイでしたね。

 

2. ファン待望!?アイリスとのデート&救出実現!

 話のベースは初代なのですが、戦闘パートで最初からボスがいたパターン(一話叉丹、四話羅刹、六話ミロク、八話猪、九話蝶)は『血潮』では存在せず、手前の雑魚戦を終えてからボス戦という流れに変わっています。

 そこで一番困るのが四話で、アイリスが壁を抜けて雷門を開くのがセオリーであるこの戦闘。初代では羅刹が最初からフィールドにおり、望みの隊員を羅刹のもとに召喚するため、カンナを派遣して他は一切何もせず撃破してもらうというチャートでした。しかし本作ではそうはいかず、スイッチを押すか、雑魚を全滅させるかの二択が迫られます。しかもアイリスがいない場合は雑魚の量が増えているというオマケつき。

 移動をカットするので、イベント中に好感度の上がる隊員を活用する。のが基本戦術である以上、アイリス回である四話はイベントだけでは他の隊員の好感度は上がりにくく、敵全滅を求められるのはつらいものがあります。なので、デートした上で救出イベントまでやって、スイッチを押しにいってもらっています。

 前述の「羅刹のもとに召喚」という仕組みは残っておりますが、選んだ隊員が雑魚4体のいる雷門の中に閉じ込められる風に変わっています。雑魚4体の中央に置かれるのでこれは1ターンで倒さないと相手が動きまくってタイムロスは明白です。なのでワンターンフォーキルゥ...ができるすみれさんを雷門の中へ。アイリスを救出しない場合はさくらが戦闘に参加しません。ここに、範囲攻撃が大得意な2人が欠けることになります。この状態でしかも雑魚が増えてるのは...ちょっと厳しくない?ってことで四話がちゃんとアイリス回になりました。

 

3. 「全カット」チャートの敗北

 実はフリー移動を「ほぼ全て」カットと書いていたのには理由があります。本当に一部の戦闘ですが、「もう少し威力があれば...」や「好感度を稼いで順番を早められれば...」という壁にぶつかっています。そういった場合は、本シリーズのチャートづくりの基本、ADV パートに立ち戻り、それでもダメならフリー移動を追加という流れです。

 1つの実例は七話のミロク戦です。カンナの好感度を稼ぐため、一度だけフリー移動のイベントを起こしています。これがあると、当該の話で好感度補正最大になるさくらより早く行動ができ、ボス戦を有利に進められます。カンナが遅いと上手く削りきれず、終盤でミロクが防御コマンドを使って遅延行為をしてきます。これは実際に両パターン計測して、カンナのイベントをこなしたほうが良かったことがわかっています。

 となると、他でもそういうものを孕んでいる可能性があるんですね。恐ろしい。

 『カービィボウル』のTAS動画が、あえて「可能ならホールインワンをする」条件下でのプレイなのは、ホールインワンの演出の関係上、二打でカップインする方が早い場合があるから。そして、それを全コース全パターンから探すのはあまりにも現実的ではないため、そのようなプレイスタイルとなっています。『血潮』に限らず、「全カット」よりも実は1個のイベントで早さが変わる可能性が見えてしまったのは、本当に恐ろしい発見でした。まあ今回は、それもまた『血潮』を通したひとつの研究結果、そして未来への課題として置き土産。

 

 チャート談義の終わりに、最早定番となりましたが連射機の採用それ自体についてのお話を。毎度のことながら RTA Play! さんの記事を引用させていただき、その使用についてご理解いただきたく思います。

(前略)
問題になってくるのが、戦略の優劣を競いたい時にこのイベントシーンの時間は非常に邪魔だったということです。特にドラゴンクエストシリーズの中でもDQ7などはイベントの時間だけで何時間にも及びますが、連射機を許可しないとただボタンの連打が早いだけの人が戦術が優れている人よりタイムで勝ってしまうという戦略至上主義だった当時としては許容できないことが起こってしまうのです。

DQの場合は戦闘中のメッセージ飛ばしも設定で表示速度1にするより一番遅い表示速度8にしてボタンを連打したほうが早いシリーズなどもあったことから、連射機を使うことでボタンを押すのが早いだけの人を排除して戦術の優劣だけを見ることができるから連射機が使われたという観点があったことは知っておいてもらいたいです。
(後略)

連射機のコミュニティ間の認識の差について
RTA Play! : https://rta-play.info/rta-record/article024/

 やはり本作もシリーズ他作品のRTAの例に漏れず、事前準備...ADVパートの在り方・フリー移動の在り方・戦術が重要になる、戦略至上主義的な作品です。本番、何らかのミスや敵の思わぬ動きへのリカバリ能力も当然大切ではありますが、物を言うのは事前にどれだけの戦略を用意してきたか、という点です。

 

○ヒロイン選択

 『血潮』は話の割り方が見直されており、ヒロイン選択を行う話と猪戦が別々になっています。これで何が困るかと言うと、初詣イベントで稼げた好感度を猪戦に持ち越せなくなっているという点です。

 ですが、今回のヒロイン選択はそんな困ったちゃんの部分は割とどうでもよくて、本作独自の要素「特殊攻撃」の効果でカンナを選択しています。上掲の通り、カンナの「特殊攻撃」は、次のカンナのターンが終わるまで、敵の防御力を5下げるというもの。これが大神さんの「特殊攻撃」である次の自分のターン終了まで自機の攻撃力+10という効果と非常に相性が良いです。

 防御力5ダウンの効果はそれだけに留まらず、「次のカンナのターンが終わるまで」続くもののため、他の隊員の攻撃も入りやすくなります。そのため、カンナをヒロインにすることで、サクラ大戦の仕様である「好感度が高い隊員はターンが早く回ってくる」ことを利用し、後続の隊員に必殺をガンガンぶちこんでもらいボス撃破の高速化を図っています。また、好感度補正が最高の場合、「ため」コマンドを使った場合に溜まる気力ゲージは40になります。「特殊攻撃」は気力ゲージを40使うので、カンナは敵の防御を下げた傍らですぐに自身も強力な攻撃力からなる必殺を撃てるメリットがあります。

 そのため、本攻略では大神さんの「特殊攻撃」との相性が抜群であることと、動く順番を早くすることで他の隊員の与ダメージまで上げられるため、カンナをヒロインとして選択しています。元々の攻撃力の高さは言うまでもありませんが、『血潮』のシステムから考えるにこれが非常に大きい理由です。

 ただねぇ...カンナは十一話の電撃塔戦は相性が悪いんですよね...。道が長く敵が多いため、壁を無視した攻撃やそれも含めた範囲必殺を持っているキャラが、この戦闘だけは有利なんですよね...。そこだけが活躍できないのが惜しい。

 

○実際の挑戦

 「ちょうど8年ぶり」を謳いたいがために、RTA in Japan の裏で通す。採用作品が出たときにリスト眺めるくらいで、特に興味は無く配信ももう何回も見てないんで、この日程で何の問題もないのだよ。昔は現地観覧行ったのにね。

 

1. 二話ボス戦、無駄会話

 二話のボス戦は最下段に出現する侍というボスが、最上段の帝都タワーに辿り着いてしまったら負けになります。なので、段を登っていけないよう先に大神さんと紅蘭で道を塞ぐ戦法を取っています。このとき、両者が近すぎると無駄会話+LIPSが発生してしまうので要練習&要注意。

 二話はフリー移動カットによる補正不足でかなり難しい戦闘になっていたため、ここも何度も練習していたのですが、本番になってこの無駄会話が発生するという体たらく。慎重に急げ。

 

2. 三話 LIPS ミス

 やらかしましたね。LIPS をミスると何が怖いかと言うと、大神さんの隊長レベルに関わってくるのです。前述の通り、隊長レベルは青・赤・黄のゲージの総量で決まります。今回のチャートでは、六話で「山・レベル5」の大神さんじゃないといけませんでした。

 隊長レベルが大神さんの補正に関わるのは前述の通りで、レベルが上がるほど良い補正になっていくのですが、レベルが5の段階で ARMS ゲージが1つ増えるのは山の大神さんのみ(※2022.1.3追記:風ならばレベル3からゲージが1増えるが、選ぶ LIPS から風にはなれない)。それを前提にチャートを構築していたので、「ゲージ総量が変わって、山は山でもレベル4だったらやべえ...」と冷や汗。六話は追加エピソードで、羅刹・刹那の過去2ボスが復活しそれを隊員が分断された状態で撃破、となかなか難易度が高い戦闘のため、ARMS の1ゲージの違いは重大です。結果としては問題が無かったので安心しましたが、これだから「全カット」は怖いんよねってとこです。

 

3. 五話、見たことない動きをした脇侍

 原因は全くの謎。チャート通り動かしていたはずが、脇侍が一体だけよくわからん場所に移動。五話はすみれさん・カンナ回で、戦闘後半の紅蜂隊戦を合体必殺で片付けるには、件の脇侍には「かばう」を入れたすみれさんを攻撃してもらうはずでした。しかし彼は、あの日に限ってすみれさんを無視し大神さんの近くにやってきた。

 当日に初見の動きはやめてくれと困りながらも、その脇侍の処理方法を変え、その後の動きも本来早めに役目が終わるはずだったカンナと大神さんを上手く動かしてリカバリ。すみれさんを「かばう」回数も問題なく3回フルに使用

 事前に構築した動きに沿ってやってるだけ、に見えるのがサクラ大戦シリーズのRTAがあまり映えない理由かなあと最近気づいたのですが、こういったリカバリ能力だってちゃんと求められるんだぞと。誰がどのくらいの攻撃で何を撃破できるか、をしっかり頭に入れてたからこそ取れた行動でしたね。

 

4. 六話、復活の刹那、一瞬で散る

 チャートには移動や攻撃コマンドの入れ方が細かく書いており、連携発生までは管理できませんが、ここまでには撃破されるラインは見極められているためその記述もあります。しかし今回の刹那は、1ターン早く倒れるという幸運に恵まれました。

 これは、いつもなら瞬間移動後の刹那の攻撃がさくらにのみ向いていたのが、今回は大神さんにも向いたため気力ゲージが大きく溜まり、必殺を早く撃てたためでした。普段と違う動きをされているため、本来の ARMS の行動再現的には困っちゃうわけですが、それが良い方向に働きました。プレイ中驚きました。

 

5. 十話チャート記載ミス

 十話は実は、雑魚戦を早く終わらせたいがために3,4個しかない LIPS をどう組み合わせるのが最適なのかを長い時間かけて調べていたものでした。なので、チャート上で選ぶ選択肢を何度も変えた結果が載っており、個人の脳内では色んなパターンで試していたので組み合わせを記憶しきれず、当日使用するチャートの記載のみが頼りでした。

 そんなチャートには、LIPS は選ぶ方の文章と「連射でOK」なのか「上」か「下」かの LIPS 上の位置を書いているのですが、「文章」と「LIPS 上の位置」が食い違っていた箇所が1つだけあったのです。プレイ中優先的に見るのは後者、「連射」「上」「下」なので、「連射」って書いてあったらそりゃ連射する。でも文章の側は違う。念のため隊員の状況を見たら、文章の方が正しい。やってくれたな、過去の自分。

 このため十話の雑魚戦は微妙なロスがありました。

 

6. 十一話蝶戦かばい忘れ

 もうね、これはね、単なるミスですね。蝶の必殺を食らうと、『4』の長安神体初戦のように、隊員が操られて勝手に動いてしまうらしいのです。そのため、メイン火力となるカンナをかばうことでその特殊効果を無効にする作戦だったのですが、まさかのかばい忘れ。「やべえええ」と思ったら蝶の特殊効果は「失敗」の表示。しかも、必殺を食らったので逆に気力ゲージが溜まって良くなる始末。

 よくよく思い出してみているんですけど、蝶の隊員操作の特殊効果、見たことあったか・・・?

 

7. 殺女・叉丹戦の遅れ

 今回のチャートの柱である「特殊攻撃」マシマシなら最終話のこの2人も撃破速度上がるでしょ、と思っていたのですが、結果はまさかのプラス。嘘でしょ?

 「特殊攻撃」は前述の通り気力ゲージを40使用するので、大神さんは1回の「ため」で25しか溜まらないので必殺には2回ためる必要がある。その回数分、単純に殴った方が早かったらしい。まーじかよ。

 そのあたりの区間計測ってしないんですか?と思われるかもしれませんが、前掲のミロク戦や、今回大きく戦術を変えた脇侍工場戦などは測っていました。が、「こんな単純な戦闘、攻撃上げ防御下げしたほうが早いっしょ」という固定観念があったのと、よくよく考えると前回の記録は究極称号の大神さんなので攻撃力がめちゃ高いんですよね...。単純にその差という説が濃厚...。

 

 今回は、変なミスもあれど良かった部分もありの波乱万丈でした。レポートでは割とミスを取り上げることが多いですが、戦闘は「特殊攻撃」の活用で、補正が無くなってもこれまでのチャートより断然早く終えられたことが多かったです。練り直して走りきった価値は充分に感じられました。
 また、今回の大事件としてはフリーズを疑われた読み込み不良(注:リンク先 Twitch 、走者声有り)がありました。自分の PS2 だけかはわからないですが、『血潮』では稀に起きるんですよね...。何事もなくてよかったです、ほんと。

 

○絶対に許さん。攻略本誤植情報

 攻略において重要なヒントになる攻略本に間違いがあるので、ここで訂正しておきます。同じ攻略本を使う際はご注意ください。

 今回使用したのは「SEGAオフィシャル公式BOOK」を謳う、『公式ファイナルガイド』。(正式名称はレポート末尾にて)

・P213 第十話<6>新たなる力 N-LIPS欄解説
>出撃命令を選ぶN-LIPSは、1と2のどちらでもマリアたちの信頼度は大幅に上昇する。信頼度の上昇幅はどちらを選んでも同じなので、上げたい隊長度の選択肢を~
→違います。1と2で各隊員、上がり方が違います。
 同じ LIPS を説明している他の隊員のページではこんな記述は無いのですが、マリアのページにのみ「どちらを選んでも同じ」と書いてあります。が、これは間違いです。最終的な補正値の違いを以て確認済。

・P396 11-S い 大帝国劇場前・降魔戦
>勝利 敵(魔来器を含む)全滅
この戦闘は、魔来器を全て撃破すれば終了します。敵は放置で構いません。

 特に前者!許さんからな!初代の方でここの上がり幅が違うって知ってたから「もしかして血潮でも?」と思って気づけたが!普通のプレイヤーは気づかんぞ!!!

 

○本レポート及び本プレイの注意点 ~未来、これを見たひとへ~

 今回の攻略は、やはり私・ぜらすの想定しうる範囲での ARMS の行動再現・戦術構築とその調査。及び、レポート内で述べてきた考えからヒロインを選択しております。

 「特殊攻撃」の相性の良さが非常に大きいですが、もしかしたら別の組み合わせ方が、戦術や ADV パート中の内容から導かれる可能性は大いに残されています。

 やはり行動再現的なRTAで、事前準備がとにかく大事になる本シリーズは、チャートを最後まで作りきってみないと誰が最速なのかはわからないものです。

 今回は究極称号・「絶対正義」を取得しないチャートでしたが、「全カット」の敗北という項でも書いた通り、少しの寄り道で戦闘をより速く終わらせることのできる可能性が残されておりますし、何ならその程度の寄り道で絶対正義取れますよ~まであるかもしれません。

 基本「全カット」が早いでしょ、というのは過去作の経験からのものなので、もし新しく始めてみようと思った場合、そこから壊してみるのは十二分に考慮の余地があります。

 

○今後

 ついに、当初の目標であった『2』『3』『血潮』の最終版といえるチャートを作り、極めた記録を叩き出すことを全て達成しました。

 この3回、回数を重ねる度に少しずつこんなことやってるひといたのか!とお気づきになり、配信に来てくださる方が増えたことは非常にありがたいです。

 しかし、筆者はそのスタンスと、主流になっているRTA界隈とのズレにもう我慢ができない状態で、シリーズのRTAを始めてから10年となる今年2月4日付近に、『4』の「全カット」チャートを作成・走破して、本当にシリーズを極めきって終わろうと思っています。

 『4』の後どうするかはそのときまた決めます。ただ今は、『4』の最後の姿がお披露目されるその日をお待ちいただければと思います。動画は当然作りません。Twitch での配信になります。気になるかたはぜひフォローをしておいてくださいね!

 

○参考文献
サクラ大戦~熱き血潮に~ 公式ファイナルガイド』
 株式会社アスペクト 2003.7

 

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