アロガント級の戯言。

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カービィシリーズタイトルRTAリレー4を終えて ~これまでと、卒業~ #カービィリレー

 2022年4月30日から5月1日にかけて、『星のカービィ』シリーズの作品から17作品を選び、日本2チーム+海外2チームの合計4チームで総合クリアタイムを競う『カービィシリーズタイトルRTAリレー4』が開催されました。

 筆者は運営として本企画の第1回から参画し、2回め・3回めに続き今回もまた運営としてリレーに携わりました。

 実はリレー運営の中では私は特殊な人間。なぜなら、カービィRTAを主戦場としていないため、ぱっと見コミュニティでは全く知られていない存在です。SRC には『カービィボウル』『スーパーデラックス』『きらきらきっず(GB版)』『スーパーレインボー』が掲載されていますが、カービィのコミュニティに恒常的に大きく関わってきたわけではありません。

 そんな自分がどうして運営に参加していたのかや、今までのリレーのこと。そして今回のことと、閉会式での『運営卒業』宣言を受けての想いを遺しておきます。

はじまりは2015年

 最早知っている方も少なくなってきた、個人主催のイベント、『星のカービィシリーズ・"全作"リレー』(当時は全27作品)を2015年の4月25~26日にかけて開催しました。カービィのコミュニティに初めて大きく切り込んだのにも関わらず、のべ走者13人でタスキを繋ぎきり23時間41分41秒で完走、本部のみですが累計視聴者数は3000超と、個人のニコニコミュニティで行ったものとしては成功の部類に入るものだったのではないでしょうか。

 実はこの企画は自身初の大会運営でした。ニコ生の仕様把握ミスで一時放送が途切れる事態もありましたが、なんとか単独でやりきりました。そして、この大会に参加いただいた中に、長い付き合いになる「ぷーれ」さんがいらっしゃいました。

 

ぼ~っとしていた。25周年企画

 2017年にカービィは25周年を迎え、それをお祝いする大会が企画されました。内容は、『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』収録の6作品(初代、夢の泉、2、SDX、3、64)のリレー対決で、日本2チームのほかゲストとして海外から1チームを招聘した、自身の知る範囲では『カービィRTA大会では初めての日本vs海外チームの対決』企画でした。

 こちらの主催が「ぷーれ」さんでした。YouTube に大会アーカイブが残っているのを見て思い出したのですが、まだあまり知名度が無かった頃の RTA in Japan の Twitch チャンネルを借りて、ニコ生との同時ミラーも行った大会でした。

 この頃は仕事が信じられないくらい多忙で、あまりにも遅い時間の帰宅になるか、帰っても疲労困憊ですぐに寝てしまうかという状態含め心身ともに異常を来していた時期でした。今回の『カービィシリーズタイトルリレー4』の閉会式で口にした『何も出来なかった25周年のリレー』はこのことです。運営としての準備にほとんど携わることができず、当日の聞き手として朝から晩までずっと放送に居続けたくらいのことしかやれませんでした。ぷーれさんからは、『居てくれただけでも良かったです』と声をかけてくださいましたが、本当に申し訳ない携わり方でした。

 

2019年、それは動き出す

 2018年末、マリオ系の大会でお馴染みの方となっていた「紺空」さんからカービィシリーズタイトルRTAリレー』に運営として参加してもらえるかとお声をかけていただきました。'18年に『第6回マリオマザーシップ』企画に解説などとして参加したご縁でのお誘い...もしくはこれまでのカービィ関連のリレーを加味してのものだったかと思います。回答は当然『YES』。なんたって、カービィは好きなゲームのひとつですし、'17年のような仕事の忙しさも解消はされており運営も行けると判断してのことだったはずです。

 こうして、2019年4月13日に、第1回となるカービィシリーズタイトルRTAリレー』が開催されました。25周年のリレーが6作だったのに対し、本リレーは15作品と、カービィ系のイベントでは初めての規模だったと思います。運営としては前月に『第7回マリオマザーシップ』に続く2ヶ月連続登板。この頃から『カービィって?』のスライドはずっと使われ続けており、昔より今にいたるまでの伝統の原点を感じます。採用作品の中には「闇のゲーム」として有名だった or 後に有名になる(記憶が曖昧で申し訳ない...)、エアライド』の『シティトライアル any%』や、「実質カービィ最新作」と言われたスマブラSP』の『灯火の星』モードがあるなど、波乱の作品やスマブラ系の採用、そして「チームロゴの作成」という基礎も築かれていました。そして、今見返すとこの頃は紺空さん単独ミラーシフトじゃなかったという驚き(?)。いや、それが普通だとは思いますが...

 第1回はその後の大会とは違い、「プレ企画」「後夜祭企画」までてんこもりで行われていました。最近でもまだ後夜祭企画でリレーに関するクイズをやってる企画はあるのでしょうか?(集計忙しくて大変なのよね)

 ちなみに...

モグさんありがとうございます。当時本編最新作だったスタアラはアンカーで、安定の走りかつ優勝を決めた最後の一撃はとても印象深かったです。あと私は個人的にモグさんめっちゃイケボだと思ってます。はい。

 

2020年、ヤツらがやってきた

 『カービィの作品をたくさん集めたリレー』という枠組みが海の向こうへ伝わったのか、第2回ではなんと海外勢も『あたしもまぜて』と言わんばかりに参戦!そして、冒頭の全作リレーを除けば現在に至るまで唯一のコロコロカービィ採用大会でもありました。

採用作品はほかにもカービィボウル毛糸のカービィ、DS 系にも広がってUSDX『トリプルデラックス』も入り更に多彩な作品が揃い、『カービィシリーズタイトルRTAリレー2』が開催。また、海外勢と時間が合わせるのはなかなか難しいなか、中間企画も開催しました。この頃の運営陣は既にニコ生歴10年弱~10年以上の猛者(?)ばかりとなっており、それぞれの事情も複雑化していったのか、第3回以降は「プレ企画」「中間企画」「後夜祭」のいずれも開催されなくなっていきました。今後があるなら復活を期待したいですね!

 その中間企画には運営も散らばって参加しており、私は『夢の泉デラックス』の『かちぬきボスバトル』のRTAに参戦しましたが...

mobuさんは惜しかったのはわかるとして、『5KO』ってなんやねん。ってことで規定時間内にメタナイトを越すことが出来ず終了。このとき奇声をあげまくったからか、Twitter で2~3件、『ぜらすさんが面白すぎる』というツイートを見かけました。真面目にやってはいるんです!!!!!1

 本番では歴25年を自負するカービィボウル』の解説に登板。これにあわせて自身でもこの作品の RTA を学びましたが、海外勢の r0bd0g は本当にヤバい。3位スタートでごぼう抜きしていきました。今回の個人賞は、当時も言いましたが身内贔屓とかではなくmobuさん。日本2チーム vs. 海外2チームという、何もかも初めてで誰もがどうなるかわからない大会の第1種目で、SRC 上でトップクラスの実力を持つ海外勢を躱して見事に一抜けを達成してみせたのは、「大会」や「リレー」の本番の醍醐味を存分に見せつけてくれたと思っています。

 ところで私はこの頃から本企画に対しちょこちょこと動画を作るようになりました。この回は『海外勢が来るけど、実際日本勢とどれくらい差があるのって調べるの大変だよね~』というところから、SRC のデータも参照した走者の紹介動画を作成。

 

2021年、解禁されたあるモノ。そして夢は繋がるか

 海外のほうは文化として、「こういったリレー企画は喋らないもの」的なものがあったらしく、我々もその点を把握しきれていませんでした。それに反し日本勢は画面にいろんなものを出して放送を盛り上げようとはしゃぐ様子が映し出されていました。それを見て向こうの走者も「喋ってよい」ことに気づいたほか、英語が堪能で海外との折衝を担当してくださっていた運営のセリアさんから『memeミーム:日本の RTA 界隈ワードでいうところの「茶番」)を放送に載せてOKだぞ!』と、全世界的にタイムもミームも競う大会へ更なる発展を遂げたのがカービィシリーズタイトルRTAリレー3でした。意気込みコメントの時点で、前回の日本勢を見習ったのか、海外からも画像で届くことが多くなりました。本当にフランクな方たちです。

 3回目ということで『星のカービィ3』をリードゲームとして開催した今回は、第1回にあったスマブラ系作品がスマブラX』の『亜空の使者で復活。また、当時から進化した『スターアライズ』も再び採用。他にも前2回にはなかったタッチ!カービィや、メタゴーではあるものの『ロボボプラネット』も初参戦&『トリプルデラックス』は本編で登場!

 ...とはいえ、この大会のひとつのハイライトは、初採用の『ブロックボール』だったのではないでしょうか。沼と事故が多発し、多くのカービィの作品で世界トップクラスの記録を持つ swordsmankirby が『誰だこんなの入れたのは』と言い放った、ある種伝説になったともいえる作品。極めつけはやはりこのやりとり。

『ブロックボールをリレーで走りたいといった走者が4人もいたなんて驚きだよ!』というコメントに対して、『そんなん誰もいねーぞ』と返す swordsmankirby の "there were 0" は本作へのシンプルにして最大級のヘイトが詰まっていたのではないでしょうか。

 エアライド』の応募多数で、急遽区間を第7-1区間・第7-2区間と増やしたのもいい想い出です。海外側も走者を集めてくれて、繋ぐことができました。個人的にこの大会、自分のシフト内で好きだったポイントはここ。Aチームの画面の右下に何かが表示されていることに気づいたぷーれさんとのやりとり。定期的に見返したくなる。

 この大会が開催された2021年は、カービィ誕生から29年め。つまり、次の年は30年目になるわけです。それを記念する大会は...やりたいよね!?というわけで、次回への布石となる動画を作成いたしました。

 

2022年、そして30年目の夢が始まった

 初報からぶっ飛ばして始まったカービィシリーズタイトルRTAリレー4

2019年、初回の閉会式コメントで『30周年にもう1回、全作リレーやれたらいいな』みたいなことを言い、その半年後から作り始めていた動画。

←プロジェクトファイルの作成日時に注目

全作はもういろいろと無理になっていたので「30周年記念」の第4回リレーの告知動画として、長い年月を経て初報動画として発表。その前段階ではありますが、この動画でも使われているように「30周年記念」としてロゴも作成していただきました。ありがとうございます。

 本番までの動きで大きいところとしては、第2回では動画のほかに走者コメントの英訳に回り、第3回は諸事情により他のメンバーのサポートくらいしか出来ませんでした。が、今回はまず『カービィボウル』の内容が内容だったので、向こうとルールについて大激論。また、大会スライドの背景の新調(実は2回め・3回めで使用していたのも自分が作ったものだったりするが)、前年比200%増しでの確定 or 未確定情報のチェックなどガシガシ動いていきました。それもこれも、動画含めやはり「30周年記念」「最期」が原動力としてありました。閉会式での卒業挨拶で選ぶ言葉を間違えてしまい、セリアさんから今回は反省点があったなぁ、というニュアンスの発言を引き出させてしまったのは申し訳ありませんが、カービィリレーの運営の皆さんは、何かあってもしっかりとした対応と文面が返ってきますし、何より、感謝と謝罪の心をもって運営が回っています

 今回のリードゲームは発売したての最新作『星のカービィ ディスカバリー。以前採用された作品も一部ルールを変えて再登場したり、『すいこみ大作戦』『スーパーカービィハンターズ』が初採用されたりと、まだまだリレーのカービィはふくらみます。特に後者は自分が結構こだわってねじこんだとも言える一作。スタミナ制だけど回復頻度も高いし、敢えての短さが様々なチャートを生みそう...などなどを議論の俎上に上げました。閉会式でバラした『作品数...16より17のほうが良くないですか?素数だし』って言ったのもガチです。16より17のほうがなんか素敵じゃない?素数素数。テレビの音量もキリのいい数じゃないと許さないマン。

 シフト的に途中で睡眠を必ず挟んできた自分が、全く眠れずほぼずっと起きていたのも初めてのこと。カービィハンターズから SDX までは運営勢揃いで解説とガヤが行われ、総決算感も個人的に強まりました(シフト上自分は通話から抜けている予定だった)64は大波乱が起きるし、SDX とドロッチェは一発で出すの!?と驚かされる記録が叩き出されるなど、凄いものを見ることができました。もちろん前半戦も、エアライドでは負のオーバーフローバグ3の世界トップの区間タイムの激戦、あいも変わらずえげつない精度でカービィボウルを走る r0bd0g などなど...徹夜は年に一度もやらないような人間が今回はほぼ徹夜でリレーを見てみて、『あぁ、こういうのって全編通しで見れると面白さが何倍にも膨らむな...』と感じました。ディスカバリー』のRTAは大会が初見でしたが、こちらも驚きの連続でしたね。

 下準備が大変なのは常ですが、「大会の魔物」のようなものを目の当たりにもできますし、何より終わった後の達成感は代えがたいもの。今年も本当に楽しいリレーでした。

 

卒業 泣かなかったけど冷たいひととは言わないで

 閉会式で少し時間を頂くと前置きし、今回もこうして無事に終えられたこと。日本と海外の走者がこうして一堂に会し、走りもさることながらネタ方面でも国際的に成長したこの大会は本当に価値のあるもので、携われたことは貴重な経験であること。そして、ご参加とご視聴、コメントに感謝を述べた後、運営を「卒業」する旨を宣言しました。その理由のひとつは、今の自分の考えで運営を続けることは、大会に携わる全ての皆さんに失礼にあたると考えたからです。

 

 大前提として、私は今年の2月に、自身が10年間続けてきた『サクラ大戦』のRTAを「究めきった」として終止符を打っています。

また、上掲の記事内には昨今の日本の RTA 事情を憂いていることも書いてあります。簡単に言えば、過度なエンタメ性の前に記録が蔑ろとなり、戦略至上主義・タイム至上主義な作品である『サクラ大戦』シリーズを主戦場としている自分にとって、RTA 界隈とのズレに耐えられなくなっていました。

「いや、『カービィリレー』はエンタメ性マシマシになってんだろ」とお怒りになる方がいらっしゃるかと思います。その部分は上掲の通り

日本と海外の走者がこうして一堂に会し、走りもさることながらネタ方面でも国際的に成長したこの大会は本当に価値のあるもの

と考えており、この大会を盛り上げようと、走り以外にも工夫を凝らして参加してくださっていることに大きく価値を感じていることから、本リレーへのエンタメ性マシマシは気に留めていません。それでコミュニティ内の国際交流が広がり、日本で開催される大会の中でも貴重性や価値がより高まっていくのなら、私はそれでいいと考えていますし、そんな大会なら携わって良かったと思えます。
(※註:筆者は平時は最早一切のRTA配信... RTA in Japan 含め全く見ていません)

 ただ、本心には上掲の記事に書いた内容があることから、いくら真上に書いたものがあっても立場のハッキリしない存在に見られたり、それが運営内にいることで大会の評価を落としたりというのは絶対に避けたいことです。加えて、そのように悩み続けながら運営を行うのも、真っ直ぐに競技に向かう走者の皆さん・楽しみにやってきてくれる視聴者の皆さん、そして他のメンバーにも失礼にあたる。そう考えたのが、卒業の理由のひとつめです。

 

 ふたつめは、このブログの直近の記事にある、RTA への外患を憂慮してのことです。

今回は Twitter でリレータイムスケジュールに素敵な絵を添えてくださったものが 700RT & 1000Fav 超えをしているほか、開催や終了を祝ってくださる絵もツイートされ、30周年記念に過去最大級の盛り上がりを見せたと個人的に思っております。

しかしながら―――向こうも向こうでやることとしては間違っていないのだが―――ゲームメディアにこのリレーが見つかったとき、今まで育ててきたものが崩れてしまわないかがとても心配なのです。

 一部の意気込みコメントや閉会式後のフリー通話や走者のツイートから、回を重ねるうちにこの大会を知り、様々な作品とその面白さを目の当たりにし、ぜひ参加してみたい』『他の作品もやってみたい』というお声をいただけたのは、運営としてとても光栄なことです。『この大会が、走りたいと思わせる・大会に参加したいと思わせる力を持っている。自分たちの運営した大会は見世物で終わるものじゃなかった。』そう思えたことがとても幸せです。

日本ミラーの Twitch が平均同接400超が安定水準、最大はディスカバリーで700オーバーと、まだ、メディアが取り上げるメリットがあるほど巨大なものではないかなと思います。しかし、記事になって反響を呼び、私が幸せだと書いた「大会の持つ力」が薄まったり失われたりしたとき、きっと大会運営を通した達成感を得ることはできなくなり、モチベーションも失ってしまうでしょう。

だから、『自分がこの大会を好きだと思えるうちに、卒業させてください』と閉会式で言いました。本当は辞めたくなんかない。第1回からずっとやってきていて、まだ生きているのに、大好きな作品のこれ以上ない価値の持つ企画から離れるなんて。でも、大好きだから、大好きなままで想い出に変えたいのです。運営も走者も、敢えて外患とは書いたもののメディアも、誰も悪くない・それぞれが正しいことをやっているのに、この大会から「力」が失われていくのは見たくない。大好きなものが見世物小屋になるのは、見たくない。

 

 これ以外に理由はありません。運営のみなさんには本当にお世話になりっぱなしで、第3回のようにあまり深く関われなかったときでもそれを補ってくれたり。動画に GO を出してくれたり。互いに助け合ってここまでやってこられたことは紛れもない事実です。

 わがままを、どうか許してください。30周年というこの記念の年で、綺麗な状態で、『カービィシリーズタイトルRTAリレー』に携わったことを、想い出にさせてください。

 

 エンディング動画も、自分の中で「最期」に相応しい二択のうちから、今回の「30周年」をより強調できるものを選び、その演出を取り入れて作りました。
最後の最後まで、私がやりたいように動画をやらせてくださって、本当に感謝しかありません。

 

 今まで、本当にありがとうございました!