アロガント級の戯言。

思ったことを書くだけ。

個人的RTA企画論

  2019年10月に「マリオカートシリーズRTAツアー」という大会がニコニコ生放送で開催されていたのはご存知でしょうか?もしくは覚えていらっしゃるでしょうか?あれを主催していた人間です。大会主催としては2015年4月に「星のカービィシリーズ・"全作"リレー」というのをやっておりまして都合2回目の主催となりました。

 近年、RTA in Japan さんへの注目度が上がるとともに、RTAというもの自体も、多くのオンライン・オフラインイベントが開催されるようになり盛り上がってきていると思います。一応RTA走者をやらせてもらっているのでそういう情報もよく目にするわけですが、一部の企画において首を傾げる部分がたまにあります。

 

 それは、企画のコンセプトや目的の不明瞭さです。

 筆者は業務上「コンセプト」にうるさいものに携わっており、計画の際はまずコンセプトを明確にしコンパクトに伝えられることが何よりも重要と叩き込まれています。言うなれば常日頃そういうことを考えている人間で、そんな立場から、そういった面に関しては明るくないであろう大会企画者の方々に何かを求めるのは酷であることはわかっております。しかしながら、最低限その大会はどういう集まりで、何を目指しているのかは示してほしいですし、少しでも考えて頂くことで新たな閃きに繋がるのではと思い記させていただきます。

 

●実例

 まず、自身が主催した「星のカービィシリーズ・"全作"リレー」を例に企画のコンセプトがどのようなものだったかを提示させていただきます。

f:id:xealousive:20200801200849p:plain

 当時使用していたスライドから、大会コンセプトのページを抜き出しました。やや冗長な記述が目立ちますが、要約すると以下の通り。

 ・カービィRTAの存在感の薄さを打破すべく行う、初の走者公募型*1の全作リレー
  *1 過去に1人で20作程(当時の全作品)をリレーしていた方はいた

そしてその目的はオレンジ色で書いてあるように、カービィRTA界に興味を持ってもらうというものです。少し諄い文章になってしまっていますが、この一枚の画像だけで、何を目指しているのかは最低限わかっていただけるのではないかと思います。

この大会は2015年の3月に告知したもので、運営は私が単独で行いました。カービィ勢と殆ど縁の無かった状態から立ち上げたのにも関わらず13名もの方から応募を頂き、本部コミュニティでの累計視聴者数は3000を超え、個人コミュニティで開催した大会にしては成功したものではないかと思っております。

要因としては物珍しさもあったとは思いますが、掲げたコンセプトに共感いただけたのもあったのではないかと私は思っております。
(参加してくださった方で「いや別に違うけど...」等あったら忌憚なく仰っていただいてください!)

このように、「その大会の根底に流れる考えは何なのか」「大会を通して何を目指しているのか・いくのか」が明確になっていると、視聴する側としても「やっていることの一貫性」が感じられ、触れるハードルが低めになるのではと考えます。

 

●例示

 近々に行われた RTA 系イベントで、コンセプトが面白いなと思ったものを挙げさせていただきます。

 

RTA 1n Kagawa Online

香川県の条例に端を発した企画で、コンセプトは「1時間以内でクリア出来る作品を集めたリレー企画」。様々なシリーズ、コンソールの作品が雑多に集まっていますが、「1時間でクリア出来るもの」という名の下に集まっているので傍から見ても統一感があります。また、例えば目当ての作品が3つ後だったら3時間も経たないうちに始まるな~というように、リスナー側のスケジュールの立てやすさも魅力の一つとしてあると思います。

 

Puzzle Game RTA Festival

 こちらは現在動いている真っ最中の企画ですが、「パズルゲームのRTAのみを集めた企画」になっています。今までありそうでなかったようなイベントで、多くのフィールドからの参加者が予想されるのではないでしょうか。

 

 仰々しいことを言ってきましたが、要約してしまえば簡単なことです。それは、扱われる作品を見た時にそれらに統一感があるか否かです。大会にコンセプトがあるのなら当然それに沿ったゲームが集まるはずなので、 一覧すればどういう大会かがすぐにわかります。

 

 昔没になった企画をここに投げてみましょう。「GCリオデカスロン」というものです。名前からどういう大会・コンセプトかがすぐわかるのではないでしょうか?大会に採用するのはゲームキューブで発売されたマリオシリーズの作品・10作です。コンセプトというのはその大会が何なのかが伝わるかというのも懸かっています。ぜひそこのところを意識していただけると、界隈はよりよく発展していくのではないでしょうか。

 

●まとめ

 コンセプトというのはその企画・大会が一体どういうものなのか?を示すものであり、それが不明瞭だと企画自体のわかりやすさに関わる重要なもの。目的についてはそこまで出している企画が無いことから具体例は挙げられませんでしたが、大会を通して主催者・運営が目指していきたいもの。これらが提示されることで、その企画により味や深みが出て面白くなっていくのではないかと考えています。

 「マリオカートシリーズRTAツアー」を分解していきますと、「シリーズ8作をRTAリレー対決で走破する初めての企画」がコンセプトであり、根元には「初めて」というものがありました。まだまだ成熟していくと思われる界隈ですので、コンセプトが「新規性」一点張りでも私は良いと思います。ですが忘れないでほしいのは、その中で扱われる作品達にそのコンセプトが反映されているかという点です。マリオカートの大会は、言うまでもなく同シリーズの作品のみを選定しており、それらが揃うことによって「シリーズ8作・走破・初めて」が成立するのです。コンセプトから降ろした内容を見て、そのコンセプトを見出したり遡行したり出来るかということです。

 自身もまだやれる企画が無いかと模索するような状態ですので、自戒も込めて。ただいろんなゲームをごちゃごちゃに、ジャンルもハードも発売元も開発元等を見ても何の統一性も無く集めたような大会にはしたくないし、そういうのは一個人としてあまりあってほしくないなと思うわけでした。